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立山荘


今日は買い物に町田をブラブラしてたらいい感じのTシャツがあったんだ。
でもアメリカンサイズでMだったから微妙に大きくてさ〜、、、
考えたあげく最初の洗いでガンガン乾燥機かけて縮ませようって事で買っちゃってさ、
早速洗濯、コインランドリーへ行ったんだ。

クルクル廻ってる乾燥機をボーッと見つめてたら
東京に出てきた頃に住んでたアパートを思い出した。

その名も『立山荘』

笹塚の入り組んだ路地にある家賃9000円の3帖1間、風呂なしボロアパート
ちょうど裏に銭湯があってその横がコインランドリーになっててさ
風呂入ってる間によく洗濯してたんだ。

当時は銭湯が190円、乾燥機が15分100円だったと思うけど、
今は銭湯が400円、乾燥機は8分100円。
随分と高くなったもんだ。

あの頃は事務所入りたてで仕事もなく、レッスンとバイトに明け暮れて大変だったけど
あのボロアパートは心地よくてさ、夢見る僕には十二分の広さだった。

この『立山荘』を借りた時の話で、今でも泣ける思い出があるんだ。
19歳の時、夢を追いかけて東京に上京して来た訳なんだけど、
僕の所持金はたった2万円(笑)
クレイジーとしか言い様がないよね(汗)

東京と言えば『新宿』と思い込んでた僕はこの街から歩いて不動産を転々。
物件を探し歩いててさ、京王線でひと駅の『笹塚』に辿り着いたんだ。

何十件も不動産を周ったけど、大体2万円で借りられる物件なんてない
見つからないまま一週間、笹塚駅前のビルの屋上で野宿したりして結構過酷だった

で、十号通り商店街を抜けた辺りにボロっちい不動産が一件。
入り口には『3帖1間9000円』の文字!

『これが最後のチャンスだ!』

気合入れて不動産屋に入ったんだ。
中にはおじいちゃんとその息子夫婦らしき人がいてさ、
僕は今までの事情を話して何とか住まわせてもらえるよう頼んだんだけど、
家賃が9000円でも礼金敷金で36000円は必要な訳で、、、
息子夫婦に『田舎に帰りなさい』って言われてしまった。

見事に撃沈した僕は肩を落として不動産屋を後にする
少し歩いた所で肩をたたかれた。
振り向くとさっきの不動産屋のおじいちゃん

『これ、使いなさい』

4万円僕の手に握らせてくれたんだ。
『返すのはいつでもいいからがんばりなさい』
僕は涙が止まらなかった。

あのおじいちゃんがいなかったら今の僕はない。
数年前、おじいちゃんは亡くなって立山荘も銭湯もなくなってしまったけど、
たまに『笹塚』という街に行ってみるんだ。
そこには僕の原点があって勇気を与えてくれるから





by souichi.voice | 2005-06-30 01:15  

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